死ぬの大好き
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書籍名 死ぬの大好き
シリーズ 単行本
著者 山本夏彦
初版発行 平成十年六月三十日 〔1998年〕
紹介版 平成十年七月二十五日 二刷
発行者 佐藤隆信
発行所 株式会社 新潮社
ISBN 4-10-341309-3 C0095
定価 1,400
272
印刷所 株式会社光邦
製本所 大口製本印刷株式会社
装画 堂本尚郎
装幀 新潮社装幀室
初出誌 「週刊新潮」 平成八年二月十五日号~平成十年四月二日号から99回 分
「不思議に命ながらえて」のみ「諸君!」平成十年六月号
かいつまんで言う  「週刊新潮」連載「夏彦の写真コラム」の新しいシリーズ4冊の第2冊目。
 夏彦の写真コラムとしては9冊目。本書にも写真も文庫本もない。
 本タイトルの「死ぬの大好き」について山本氏は「あとがき」に『本当に私は死ぬの大好きなの
である。人間というものはいやなものだなあというのが私のコラムの変わらぬ主題で、それは他人
を見て思ったのではない、自分の内心を見て子供のときから思ったので、そして「死神にも見
放され」、とうとう今日まで生きたのである。生きすぎである。』と書いている。
 また近ごろ死にかけて救急車で病院へ運ばれたいきさつを「諸君!」に掲載した「不思議に
命ながらえて」を、いくら何でも千回までは続くまいと収録している。
 だが、有難いことに「夏彦の写真コラム」は1151編のコラムを残してくれた。「死神」は見放し、
念が通じたかのように、本当に最後までコラムを書き続けたのである。
 しかし、徳岡孝夫氏は文庫本「『完本 文語文』 発行所:文藝春秋」の「解説」に『たとえば
翁が自著に『死ぬの大好き』とタイトルを付けたことがある。私は反対した。「世間には、この人
にもしものことがあればと、必死の思いで愛する者を抱くように暮らしている人が大勢います。
この表題は、そういう人々に失礼です。」と言った。翁は黙っていた。』と書いている。徳岡氏は
真摯なのである。ただ、山本氏は「生きている人と死んだ人の区別がない」人である。それは
まさしく自分こそである。
 「夏彦の写真コラム」のことを「みんな身から出たサビ」では『この長さではまっすぐ筋を追う
だけがせい一杯である。そのなかで一転し再転し時には三転するから遊ぶ余裕がない。ああ
だった、こうだった、そうだろうと畳みかけるとつい語気が荒くなる。怒っているのじゃないかと
思う読者があるから、打ちあけると実はあれで笑っているのである。』と打ちあけていますから、
私たちも笑えばいいのである。
 ただ、その笑うも色々とあり、次の笑いも当事者となったら泣き笑いとなる笑いである。『私は
利殖の才のないものである。だからマネーゲームには目もくれなかった。金を遊ばせておくのは
バカだといわれた。その侮辱とその誘惑に耐えたものは、欲ばって手をだした者を笑う資格が
ある。いつまで笑えるか分らないが、いま私は晴れて笑うのである。アハハハ。』と本書「晴れて
いま私は笑う」と笑う。
 これ重いですよ、御注意を。
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