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書籍名 | : | 不意のことば ―夏彦の写真コラム― | |
シリーズ | : | 単行本 | |
著者 | : | 山本夏彦 | |
印刷 | : | 昭和六十年十二月五日 | |
初版発行 | : | 昭和六十年十二月十日 〔1985年〕 | |
紹介版 | : | 昭和六十年十二月十日 初版 | |
発行者 | : | 佐藤亮一 | |
発行所 | : | 株式会社 新潮社 | |
ISBN | : | 4-10-341303-4 C0095 | |
定価 | : | 1,100 | |
頁 | : | 241 | |
印刷所 | : | 株式会社光邦 | |
製本所 | : | 株式会社大進堂 | |
装幀 | : | 安野光雄 | |
初出誌 | : | 「週刊新潮」 昭和五十八年七月七日号〜六十年七月四日号 | |
写真 | : | 新潮社 写真部 一部提供品 | |
かいつまんで言う | : |
本カバーが非常に美しい写真コラムシリーズ7冊中の第3冊目。 前作まであった「あとがき」がなくなりシンプルな出来上がり。 単行本は100編で一冊としているのだが、文庫本は150編を収録しているので「不意の ことば」というタイトルの文庫本はないが、前作の「美しければすべてよし」(新潮文庫)に全て 収められているのでご安心を。 山本氏の警句には、銀行、新聞のことや、言葉についてのものが多いのだが本書「21 千万 人と雖も我往かん」は新聞、言葉に触れ『いま新聞に愛用されている言葉なら、みんな胡乱だと 私は思っている。したがって用いない。唾棄しているものもある。「話しあい」「民の声は神の声」 「正直者はバカをみる」「千万人といえども我往かん」などである。「話しあい」と聞いただけで 私はぞっとすると言うと「なにッ」と新聞の読者は気色ばむ。』とあり、本当に「話しあい」という 言葉はダメであったらしく、色々なところで折々に書いている。 また、出版社を経営していることもあり、本について述べているものも多いが、本書「58 人は 本には金を惜しむ」では『グルメだのグルマンだのといって、このごろは美食のためなら千金を 惜しまぬ人がふえた。ところがその同じ人物が本なら一万円なんてとんでもない、千円でさえ 惜しむ。スーパーの目玉商品じゃあるまいし、本に九八〇円なんて定価をつけるのはこのせい である。』と辛辣であるが、人の芯となるところで考えさせられる話しである。 更に戦前という時代にもかなりのこだわりがあり、その戦争についてもよく出てくる話題である。 本書「73 恐怖心のなせるわざか」にケンカは『見ると弱いほうがさきに手を出す。まっ青に なってふるえている。強いほうは弱いほうが手を出すのを見守っている。ふるえるくらいなら 逃げればいいというのは人情を知らないもので、弱いほうは恐怖にかられほとんど倒れんばか りの姿勢でつかみかかる。』とあるが、これは勿論人のことばかりではない。個人も法人も国家も 同じである。『これまでもあったことである。これからもあるだろう。』と後味に漠然とした不安 を増長させる〆としている。 「69 イヤ怒るまいことか婦長さん」もコラムとして絶品であるが、これは全部を読まないとわか らないおもしろさである。ただ面白いのではない。苦く笑えます。 |
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