- | ||
- | ||
Amazon.co.jp の『世間知らずの高枕 ―夏彦の写真コラム―』を見る | ||
書籍名 | : | 世間知らずの高枕 ―夏彦の写真コラム― |
シリーズ | : | 単行本 |
著者 | : | 山本夏彦 |
初版発行 | : | 平成四年九月十五日 〔1992年〕 |
紹介版 | : | 平成四年九月十五日 初版 |
発行者 | : | 佐藤亮一 |
発行所 | : | 株式会社 新潮社 |
ISBN | : | 4-10-341306-9 C0095 |
定価 | : | 1,300 |
頁 | : | 251 |
印刷所 | : | 三晃印刷株式会社 |
製本所 | : | 大口製本印刷株式会社 |
装幀 | : | 安野光雄 |
初出誌 | : | 「週刊新潮」 平成元年十月五日号〜平成三年十月二十四日号 |
写真 | : | 新潮社 写真部 一部提供品 |
かいつまんで言う | : |
本カバーが非常に美しい写真コラムシリーズ7冊中の第6冊目。 時代なのか、勢いなのか分らないが、本が輝いて見える程、面白い。 「諸君!」では「無想庵物語」を書き終え「流れる-後に最後のひとに改題」も終わろうとする 頃で、山本氏の75歳前後である。凄い話しではある。 内容は反覆に耐えうる「同じことを言う」であるが、その洗練の度は増している。 「3 ゴキブリ人口激減する」では『ある種の動物が全地球を覆うほどふえたためしはない。 ふえればそのふえたことによって滅びる。そのあるまじきことが今おこっている。人類はチブス コレラ天然痘その他伝染病のすべてを根絶した。わずかにガンが残っているが、近くこれも 退治すれば人類がふえるのを妨げるものは何もなくなる。あればそれも退治するだろうから、 人類は全地球を覆うだろう。覆ったことによって滅びるだろう。太古の恐竜にその例がある。 これを天の配剤または自然という。』と人が漠然と不安に思っていることをはっきりと言い切る。 当たり前だと言えばそうなのだが、それならそれには解答はあるものであろうか。 しかし、本書も平成の初めに書かれたものである。古いと云えば古い。携帯電話が出始めた頃である。 それを「30 時間はもうない」に『すでにして忙しい。これ以上忙しくしてどうしよというのだ。 昔は謀を帷幄のうちにめぐらし勝を千里の外に決すといった。私たちに街頭から車内から発し なければならぬどんな指令があるというのか。戦国の武将だな、まるで。』と今でも十分通じる 皮肉である。 山本氏の本に「オーイどこ行くの 発行所:新潮社」があるが、その題名のコラムは本書「31 おーいどこ行くの」にある。寂寥とした無常感が漂い、これは私の一番のお気に入りである。 人は何を好むのかで大体分るものであるが、それはそれである。 全部を読まないと良さが伝わらないのが残念だが、その最後のところを紹介したい。 『いま時は春である。日はあしたである。その朝遅く橋を渡ったら、初老のその男はなに 思いけむ、橋の上の男女にむかって、―おーい、どこ行くの。と呼びかけた。道行く人はびくり としたが、ふりむくものはなかった。そのまま足ばやに去った。思えば私たちに何の答える 言葉があろう。』 |
- | ||
- | ||
Amazon.co.jp の『新潮文庫 世間知らずの高枕』を見る | ||
シリーズ | : | 新潮文庫 |
初版発行 | : | 平成八年十二月一日 〔1996年〕 |
紹介版 | : | 平成八年十二月一日 初版 |
発行者 | : | 佐藤隆信 |
発行所 | : | 株式会社 新潮社 |
ISBN | : | 4-10-135014-0 c0195 |
定価 | : | 520 |
頁 | : | 393 |
印刷 | : | 三晃印刷株式会社 |
カバー印刷 | : | 錦明印刷 |
製本 | : | 株式会社大進堂 |
カバー装画 | : | 堂本尚郎 |
デザイン | : | 新潮社装幀室 |
初出誌 | : | 新潮社より平成三年三月刊行された『良心的』の後半五0編と |
平成四年九月刊行の『世間知らずの高枕』全一00編を一冊にまとめた もの。 | ||
解説 | : | 森まゆみ |
かいつまんで言う | : |
「夏彦の写真コラム」文庫本5冊の4冊目。 カバー装画が下谷二助氏から堂本尚郎氏に変わったが、次の本は山本氏の写真がカバー を飾るので、堂本氏の文庫本はこれだけである。 森まゆみさんが「解説 ―世はてんぷら」の最後に『一方、男性は、というとこ年代でひとり 筆勢が衰えないのは山本夏彦のみである。それは書斎の人ではないからである。苦心惨憺 する実業の人であり、青年・諸嬢の初々しさ、ときに健康なざわめきの中にあるからである。』と 書いているが、確かにその感性の若さには参る。 |
- | ||
本カバー写真には関係各位の著作権保護の為に透かしを入れていますので、御了承及び御注意下さい。 | ||
- | ||
前頁 「『豆朝日新聞』始末」へ 「山本夏彦の本 かいつまんで言う」に戻る 次頁 「何用あって月世界へ」へ | ||
- | ||
編集兼発行人:工房藤棚 Copyright(C) 2005-2013 工房藤棚 All Rights Reserved |