- | ||
- | ||
Amazon.co.jp の『男女の仲 文春新書』を見る | ||
書籍名 | : | 男女の仲 |
シリーズ | : | 文春新書 |
著者 | : | 山本夏彦 |
初版発行 | : | 平成15年10月20日 〔2003年〕 |
紹介版 | : | 平成15年10月20日 第1刷 |
発行者 | : | 浅見雅男 |
発行所 | : | 株式会社 文藝春秋 |
ISBN | : | 4-16-660341-8 |
定価 | : | 860 |
頁 | : | 306 |
印刷所 | : | 理想社 |
付物印刷 | : | 大日本印刷 |
製本所 | : | 大口製本 |
装幀 | : | 坂田政則 |
カット | : | 浜野孝典 |
初出 | : | 『室内』 |
かいつまんで言う | : |
「誰か『戦前』を知らないか」、「百年分を一時間で」に続く問答集。 文春新書シリーズ3冊の第3冊目。 「カバー裏・男女の仲」に『「恋と化け物のうわさはよくきくが、実物を見たものはないと古人は 言っている。恋に似たもの以外に恋があろうかと、これは僕が言っている」』と紹介しているが、 本の内容は前2作に続くもので、「男女の仲」は最後のコラムであり他は「東京及び東京人」、 「忠孝」、「職人」、「御伽噺」、「他人」など地味なものである。 山本氏という「人」に興味がないと面白くないだろうが、本書「他人」の中に 『山本 だから僕は母親に外道だと言われたことがある。不良少年ならいい、いくらでもいる、 お前がただの不良でないってことは分っている。でも外道というのは、人外の魔物だ。私は 初めてそれを見た。 ―お母様に外道なんて言われてショックを受けなかったんですか。 山本 いや、うまいことを言うなあ、と思った。』とうまいことを言う。子供の時から並でないので ある。 本書「ラジオ・テレビ」の『僕は、テレビはもちろんラジオもほとんど聞いていない。見ても聞い てもいない者にこのテーマを扱う資格はないとお思いだろうが、必ずしもそうじゃない。見れども 見えずという。あんまり熱中しているとかえって正体が見えないことがある。』も当然なのである。 巻末に、徳岡孝夫氏が「山本夏彦さんの思い出」を書いている。徳岡氏は山本氏と縁深い人で 節目節目で賛辞を送る。本書でも山本氏が編集兼発行人であった「室内」を『地に足のついた 編集だった。記事を読んで、私はこれは只者の筆ではないと思った。世故にたけ人情の機敏に 通じた、人間を裏表から完全に知り尽くした人の文だった。』と書き、続けて『山本夏彦さんの 文章には中身に魅力があり、話の話し方もしっかりし、語り口にリズムがあり、ムダな字句がなく、 大胆だか上品な皮肉で終わる。余韻がある。ああこの人は、家を建てて室内を整えるという 大海のことを熟知してる、と私は感じた。』と適切で、過剰でなく、人を納得させ、旨みのある 賞讃を送っている。 そしてこの本が山本夏彦氏の実質的に最後の本である。残念である。しかし、永遠のものも ない。 リアルタイムに山本氏のコラムを読めた幸せを感謝したい。 |
- | ||
前頁 「最後の波の音」へ 「山本夏彦の本 かいつまんで言う」に戻る 次頁 「ひとことで言う」へ | ||
- | ||
編集兼発行人:工房藤棚 Copyright(C) 2005-2013 工房藤棚 All Rights Reserved |