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書籍名 | : | 二流の愉しみ |
シリーズ | : | 単行本 |
著者 | : | 山本夏彦 |
初版発行 | : | 昭和五十三年十月三十日 〔1978年〕 |
紹介版 | : | 昭和五十三年十二月八日 第二刷 |
発行者 | : | 野間省一 |
発行所 | : | 株式会社 講談社 |
ISBN | : | 0095-435905-2253(0) |
定価 | : | 980 |
頁 | : | 278 |
印刷所 | : | 豊国印刷株式会社 |
製本所 | : | 黒柳製本株式会社 |
装幀 | : | 村山豊夫 |
装画 | : | 佐藤達夫 |
初出誌 | : | 「室内」「二、三の新聞に書いた短文」「小説新潮」「週刊文春」「中央公論」「文藝春秋」 |
かいつまんで言う | : |
山本夏彦氏の講談社からの単行本の出版は3冊あるが夫々毛色が違う。 昔は、色々な出版社から出版されていて、本としては却って楽しめる。 他の2冊は「おじゃま虫」と「意地悪は死なず」で、どちらも文庫本化は中央公論社。 講談社文庫になったのは本書のみ。この本もスマートなデザインである。 本人が「はしがき」に『どこからお読み下さるのもご勝手だが、「当人論」はご覧頂きたいと 作者は願っている。』と述べる通り「当人論」が面白い。 山本氏としてはかなり長いコラムであるが、一気に読ませる力があり、珍しく素直な展開で ある。一つ一つを丁寧に分りやすく、機微に長けた話しを混ぜ込み「当人」と「「他人」を対 比させる。 そして最後に『わが国の当人ぶりは、他国の当人ぶりにくらべると著しく遜色がある。白を黒 だと言いはること少ないのは良心的なのではない。弱いのである。中国が言うべきことを、さき 回りしてわが国が言うのは、知らないで媚びるのである。かくの如く自分が言いはること少なく、 他人の言いはることに迎合する国は、怪しいかな他国に尊敬されないのである。』とある。ここ だけでも他全てを読みたいと思わせるパワーがある。並みの書き手でないのは承知だが、 感心することしきりである。 山本氏持論の世相批判が、本書「家計簿」にもあり『せっかく買った耐久消費財にとりまかれ て、ほとんど足のふみ場もなくなって、なお絶えず何ものかをほしがって、いらだち騒ぐのは新 しい不幸である。』と納得せざるを得ない現代である。 また本書「株屋のまねを法人がする」は今にこそ読んで貰いたいコラムであり『だから、株は 損するものなのである。ことに素人は損をする。あれは店に手数料を儲けさせるために存在 するだけのかもだと、株屋たちは言っている』とあり、この警句を本当の意味で、苦い思いで 読まないで済むことを願いたい。 「想像力不足」とは分りやすく言うと阿呆ですからね。 |
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シリーズ | : | 講談社文庫 |
初版発行 | : | 昭和59年4月15日 〔1984年〕 |
紹介版 | : | 昭和59年4月15日 1刷 |
発行者 | : | 加藤勝久 |
発行所 | : | 株式会社 講談社 |
ISBN | : | 4-06-131789-X |
定価 | : | 400 |
頁 | : | 286 |
印刷 | : | 豊国オフセット株式会社 |
製本 | : | 株式会社国宝社 |
カバー装画 | : | 早坂 信 |
初出誌 | : | 「二流の愉しみ」 昭和53年 講談社 |
解説 | : | 向井 敏 |
かいつまんで言う | : |
山本氏の講談社では唯一の文庫本。 講談社が出版した山本氏の著書は3冊あるのだが、何故か文庫本としたのは本書のみ。 他は中公文庫になっている。 向井敏氏が解説「勁直と抒情」に『たしかに荷風は「日本語を駆使して美しい文章を書いた 人」にはちがいないにしても、けっして「最後のひとり」ではない。余人はさておき、現に山本 夏彦という人がいる。』と書いているが、山本氏のファンの所以は、その発想や話しだけでなく、 心地よいリズムがある文体であったり、美しく時代に流されない文章である気がする。 ただ、裏カバーに『現代のモラリスト、辛口のエッセイストとして定評ある著者』とあるが、たし かに結果的にはモラルを語ることはあっても、山本夏彦氏を「モラリスト」とは呼ばないだろう。 もっと深いところにあると思うのだが。 |
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シリーズ | : | 中公文庫 |
印刷 | : | 1995年1月3日 |
初版発行 | : | 1995年1月18日 〔平成7年〕 |
紹介版 | : | 1995年1月18日 初版 |
発行者 | : | 嶋中行雄 |
発行所 | : | 中央公論社 |
ISBN | : | 4-12-202223-1 |
定価 | : | 620 |
頁 | : | 305 |
印刷 | : | 三晃印刷 |
製本 | : | 小泉製本 |
カバー | : | 五味太郎 |
初出誌 | : | 『二流の愉しみ』一九八四年四月 講談社 講談社文庫刊 |
解説 | : | 田村隆一 |
かいつまんで言う | : |
中公文庫14冊の第8冊目。これも絶版。 講談社が改版を出すと思えないから是非、改版シリーズに加えて貰いたいものである。 田村隆一氏の解説「尋常と云うこと」に『爾来、三十余年、山本翁の書物を愛読してきて、 翁はまた几帳面な人柄で、本を刊行するたびに、お贈りくださるものだから、ついに、わが貧相 な書棚の一角に、「山本夏彦著作集」という、ブックコーナーをもうけざるを得なくなった。』と あり、皮肉でなく幸せな人である。 |
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