やぶから棒 ―夏彦の写真コラム―
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本カバー やぶから棒 著者:山本夏彦 発行所:新潮社 Amazon.co.jp の『やぶから棒 ―夏彦の写真コラム―』を見る
書籍名 やぶから棒 ―夏彦の写真コラム―
シリーズ 単行本
著者 山本夏彦
印刷 昭和五十七年三月十日
初版発行 昭和五十七年三月十五日 〔1982年〕
紹介版 昭和五十七年三月十五日 初版
発行者 佐藤亮一
発行所 株式会社 新潮社
番号 0095-341301-3162
定価 1,100
213
印刷所 大日本印刷株式会社
製本所 神田加藤製本
装幀 安野光雄
初出誌 「週刊新潮」 昭和五十四年七月五日号〜五十六年七月九日号
写真 新潮社 写真部 一部提供品
かいつまんで言う  「夏彦の写真コラム」シリーズの11冊中記念すべき1冊目。
 そして、この装幀が安野光雄氏の手によるものは本書から「オーイどこ行くの」までの7冊で
あり、この本カバーの美しさ、センスの良さはコラムを別にしても愛蔵に値するものであろう。
 このカバーは紙質からレイアウトまで全て気に入っている。
 本って装幀の力も強いなぁと思わせるシリーズであり、山本氏の本のシリーズで一番のお気に
入りである。今の時代には、このコラムの長さは丁度好い気がする。
 ただし、写真の質には首をかしげざるを得ない。この時代ではこの程度でしかできなかった
のだろうか。後期の写真コラム集は別の装幀・装画。写真が入っているのも前期のシリーズ
のみ。文庫本は同じ出版社かと疑うほどイメージが違う。
 本書「あとがき」の最後に『はじめ私はこの集を「月ゆき花」と題したかった。桜かざして今日も
くらしたというような優にやさしいコラムを、三度に一度は書きたかったのにこのていらくである。
人か鬼かといわれるようなものしか書かないで、何が月ゆき花だと私は私を一蹴してやむなく
「やぶから棒」と題したのである。』と書いているが、このコラムシリーズを巧く言い表している
のではなかろうか。
 本書「16 人のうわさも七十五日」には『予算というものは倹約して余らしても誰もほめてくれ
ないものである。余ったら来期はこれだけでいいんだなと減らされる。故に予算はぶんどる
もので、ぶんどったら使いはたさなければならないもので、一年十二ヶ月着々と使って期末に
過不足なくゼロになればいいが、神ならぬ身にそんなこと出来はしない。』と書くが別のところ
(本コラムではない)では「倹約して余らしたらほめろ」と述べていられる。
 それはぶんどって、使いはたして、国と地方の借金合計775兆円。見事であり、凄いのである。
どうするつもりのだろう。本書の昭和50年代なら、まだまだ間に合ったものを。
 →→ 時は流れて →→ 約8年前で775兆円が、平成25年にはとうとう千兆円を超えて
     しまった。毎年30兆弱もの借金体質をどうしようというというのか。呑気とは次元が
     違う無責任体制は変わらない。本当に「オーイどこ行くの」である。
 「62 一栄一落これ春秋」には『「一栄一落これ春秋」というのは私の好きな言葉で、デパート
を例にこの欄に書いたおぼえがある。「おごるもの久しからず」「満つれば欠くる」も、おごるほど
栄えたことのない私には嬉しい言葉である。』とあるが、デパートを例に書いたものは「25 おご
るもの久しからず」であると思われ、そのコラムも痛快である。
 だが、その立場の人たちは何を想い読むものであろうか。
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本 Amazon.co.jp の『新潮文庫 やぶから棒 ―夏彦の写真コラム―』を見る
シリーズ 新潮文庫
初版発行 平成四年十月二十五日 〔1992年〕
紹介版 平成四年十月二十五日 初版
発行者 佐藤亮一
発行所 株式会社 新潮社
ISBN 4-10-135011-6 c0195
定価 440
361
印刷 大日本印刷株式会社
製本 加藤製本株式会社
カバー 下谷二郎
初出誌 昭和57年3月新潮社より刊行された『やぶから棒』全100編と
昭和59年1月刊行の『美しければすべてよし』の前半50編を
一冊にまとめたもの。
解説 群ようこ
かいつまんで言う  文庫本「夏彦の写真コラム」シリーズ5冊の内第1冊目。
 「夏彦の写真コラム」も週刊新潮では長い連載であるが、文庫本は5冊である。
 単行本では全てのコラムに写真が挿入されているが、文庫本では、かなりの数がカットされて
いる。ただし、写真の品質は文庫本の方が数段上。
 「文庫版あとがき」に山本氏は『言葉は足りなくても余っても通じる人には通じると知って、 次第
に言葉を惜しむことけちんぼがゼニを惜しむようになった。』と述べておられるが、「諸君!」連載
の「笑わぬでもなし」などの長さは、それはそれで愉しめるのだが、この写真コラムシリーズの
洗練が普通の人には受け入れ易いものであろう。
 群ようこさんが「解説」に『もちろん、山本夏彦なる人物がどういう人であるかは知っていた。
本を読んだこともある。しかし読んだ動機が不純で、ビートたけしが、「山本夏彦の本は面白い」
といったのを知り、ビートたけしのファンだった私は、書店にいって山本さんの本を、ありったけ
購入したというわけなのだ。』と書いているが、両者のファンである私には嬉しい言葉である。
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