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書籍名 | : | 美しければすべてよし ―夏彦の写真コラム― |
シリーズ | : | 単行本 |
著者 | : | 山本夏彦 |
初版発行 | : | 昭和五十九年一月二十日 〔1984年〕 |
紹介版 | : | 昭和五十九年三月十日 三刷 |
発行者 | : | 佐藤亮一 |
発行所 | : | 株式会社 新潮社 |
ISBN | : | 4-10-341302-6 C0095 |
定価 | : | 1,100 |
頁 | : | 221 |
印刷所 | : | 株式会社金羊社 |
製本所 | : | 加藤製本株式会社 |
装幀 | : | 安野光雄 |
初出誌 | : | 「週刊新潮」 昭和五十六年七月十六日号〜五十八年六月三十日号 |
写真 | : | 新潮社 写真部 一部提供品 |
かいつまんで言う | : |
本カバーが非常に美しい写真コラムシリーズ7冊中の第2冊目。 一冊目に比べ写真の品質がかなり上がっている。 「あとがき」に、言葉のことを色々と書きそのあと『恐ろしいと言う娘もあって、そしたらその 母が、毎回こんなにいやなことばかり言う人ならあとに残った「実物」はいい人に違いないと 言ってくれたと閃聞した。何事にもわが田に水を引く私は、図星だと感心して聞いたが他人は どうかと案じている。』と書いているが、我が田に水を引くのは誰でも同じで、「実物」はいい人で あったと評判である。 しかし、文庫本「編集兼発行人 改版 発行所:中央公論新社 解説:岡田紘史」によれば、 昭和50年代には、そしてそれは山本氏はもう60歳を過ぎているのだけれど、『その頃の彼は よく怒ったからである。怒るなんて生やさしいものではなかった。全身をふるわせて、激怒した。 社員を机の前に立たせ、短くて一時間たいてい二時間、大声と激しい言葉で叱り続けた。よく もそんなに叱る材料があるな、と叱られている方が感心するほどだった。』と書いていて何か 目に浮かぶ気がするが、本気だったんだなぁと感じないわけにはいかない。 最近の銀行はかなり余裕がでてきたが、山本氏のコラムには銀行を論じているものがかなり 多い。本書「9 サラ金と銀行は一味である」には『サラ金も銀行も冷酷な金貸であることにかけ ては同列だと私は見ている。サラ金ごときと一緒にされてたまるかと銀行は立腹するだろうが、 それならそれらしくせよ。』と切り口鋭く、一時の惨状を予言している如くである。 また、たまには軽く「12 キモ驚かす国民宿舎」に『かねがね私はラブホテルがどうしてお 伽噺のお城スタイルなのかけげんに思っている。何のためのトンガリ屋根か怪しんでいる。 客が来たらラッパでも吹くのだろうか。』と書き面白く、読む者を引き込む。 何気ないひと言が時代を衝き、時代を予言し、その先の光の輝きを表すものがあると思うが 「30 今浦島の心地ぞする」にある最後の言葉『そもそも学びかたを知らない子はあっても、 遊びかたを知らない子はない。それが続々あらわれたとは、前代未聞の椿事である。』は 恐いし、怖い。 →→ 時は流れて →→ 機会があって、本書を取り出して気が付いた。 嗚呼、このサイトは何を伝えようとしていたのだろうか。次に尽きていないだろうか。 プロが、本書の帯に書く。 『 平談俗語を駆使して書く世相百態! つねに花鳥諷詠の心を秘めて 現代日本の病理と憂愁を熟視 権威と情報の異常尋常を問う 』 山本夏彦氏は本気だったろうし、その周辺も熱かった。 それが格好良かった時代が間違いなくあった。 そして、それが本物であれば、いつまでも通用すると信じたいし、通用させたい。 |
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シリーズ | : | 新潮文庫 |
初版発行 | : | 平成五年六月二十五日 〔1993年〕 |
紹介版 | : | 平成五年六月二十五日 初版 |
発行者 | : | 佐藤亮一 |
発行所 | : | 株式会社 新潮社 |
ISBN | : | 4-10-135012-4 c0195 |
定価 | : | 520 |
頁 | : | 404 |
印刷 | : | 株式会社光邦 |
製本 | : | 株式会社植木製本所 |
カバー | : | 下谷二郎 |
初出誌 | : | 昭和59年1月新潮社より刊行された『美しければすべてよし』の後半50編と |
昭和60年12月刊行の『不意のことば』の全100編を一冊にまとめたもの。 | ||
解説 | : | 関川夏央 |
かいつまんで言う | : |
山本氏の新潮文庫8冊の内2冊目。 但し、その内で新作は5冊のみで他3冊は改版と傑作選である。 単行本では全てのコラムに写真が挿入されているが、文庫本では、かなりの数がカットされて いる。ただし、写真の品質は文庫本の方が数段上。 「文庫本あとがき」に『すでに人が言ったことに異存がなければ私は黙っている。賛成できな いときだけ発言する。それでいてわざと異をたてるのは卑しむべきことだと、自ら禁じている。』 と書いておられるが、それでこの膨大なコラムである。山本氏が偉いのか、時代が歪んでいる のか。前のわけであることを願うものである。 関川夏央氏が「年を経た鰐の話」のことを「解説」に書いていて『それは翻訳と銘打たれてい るけれども、ほとんど本人の創作と思えるほど残酷で哀しい、つまりいかにも山本夏彦らしい おとなのための童話である。』とあり、鋭い読みであるが、流石に山本氏の創作ではないようだ。 |
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